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田中浩也担当講義:


それぞれ、田中研究室で先端的な研究を進めるために必要な、基礎知識やスキルに相当しています。したがって、研究室の学生は講義を同時に(あるいは事前に)履修して、基礎的な知識も吸収しながら、研究室では先端的なことに取り組むスタイルを推奨します。(研究室からのアウトプットは、講義にも反映されていきますので、両者は呼吸する関係です)

もちろん、田中研に所属する以外の学生も歓迎で、他の分野にも役立つように、一般化して講義を行っています。以下のような講義を担当しています。



「ダイナミック・デザイン」(秋学期・基礎科目 ※脇田講師、藤田講師、中西助教授と共同講義)

アナログとデジタルを融合したものづくりのための入門的な講義で、特に、モノの「表層」ではなく「仕組み」を学ぶことにフォーカスした講義です。SFCのデザイン教育は、見た目のデザインではなく、本質的な仕組みからはじめるデザインですので、特に学部1年・2年生は積極的に履修することを進めます。

この授業は共同講義ですが、田中は、「音と波動のダイナミクス」というサブタイトルで、「音」を扱いながら、その裏にある科学的・物理的特徴−「周波数」「振動数」「音階」「倍音」「AD変換」「標本化(サンプリング)」「量子化(クオンタイジング)」「符号化(コーディング)」等の理論を教えています。これらは、何々(たとえば作曲)に役立つという以前の基礎知識であり、電子回路やセンサを扱う際にも必要な眼差しです。




「ボディ・ストーミング」(デザイン言語ワークショップA、春学期・汎用科目)

対象地を観察・採取する(フィールドワーク)や、身体と環境のかかわりを意識してプロトタイプする(ボディエクスペリエンス)をするなかから、得た知識や情報をマッピング・カテゴライジング・クラスタリング・エディティングする手法を教えています。SFCの「デザイン言語ワークショップシリーズ(AからHまで)」の中では最も入門的な位置づけで、「モノを作ること」と「知識や経験を整理すること」は表裏一体で切り離し不可能な学習であることを体験的に学んでもらいます。





「サイト・オリエンティッド・デザイン」(秋学期・専門科目)


「サイトオリエンティッド」とは「場所指向」という意味ですが、この授業では、場所を見るための基本的な道具立てとして、「幾何学」を教えています。ジオメトリ・トポロジー・フィールド・クライメット・生態幾何学まで、歴史上の幾何学の道具を概説し、それをもとに、場所を空間として抽象化し、理解するための思考を養います。最終的には、あるサイト(敷地)の特性を生かして設置されるインタラクティブ・インスタレーションの設計実習を行います。




「パブリック・アレンジメント」(秋学期・クラスタ科目)

公共性(パブリック)とは何なのか。そして、デザインという実践を通して、公共性のあり方を編集・整理(アレンジメント)することは、どのように可能なのか、を、文献と発表・ディベートを通して共に考えていく講義です。社会学・都市計画学・都市生態学などの文献を読み、さらに近年のメディアアートやデヴァイスがどのようにそれらの公共論・都市論と交わっていくのかを、実例を中心に説明しています。



卒業制作・卒業論文


研究室所属の4年生は、卒業制作・卒業論文に取り組んでもらいます。研究室の総合コンセプトである「環境装置(エンバイラメンタル・デヴァイス)」を、自分なりに咀嚼し、それぞれの哲学をもとに、[1]メソドロジー(方法論)と、[2]ビジョン(社会的パースペクティヴ)をまとめるのが卒業論文の仕事です。学部4年間の総決算ですので、半期ではなく1年がかりで行うことを推奨します。

製作する作品のアウトプットは、小物・プロダクト・インテリア・家具・遊具・玩具・照明・空間など、どの方向性でもかまいませんが、自分独自の方法論を理論化しておくことが目標となります。





修士制作・修士論文


修士論文は、より広く社会との接触をもとに、自分なりの理論を高く体系化することを求めます。ただ作るのではなく、社会の中で実践的に「どのような人々に対して、どのように作るのか」を、自分なりの語りで十分な説得性と論理性を備えることが必要です。これからのリーダー的存在となれるトップデザイナーを目指すことが目標です。




オフィスアワー


オフィスアワーは月曜日5・6限、研究会は火曜日5・6限です(見学可)。


講義同士の関係性/講義と研究会の関係性

田中がメインで担当している3つの講義―「ボディ・ストーミング」(デザイン言語ワークショップA・春学期・汎用科目)、「サイト・オリエンティッド・デザイン」(秋学期・専門科目)、「パブリック・アレンジメント」(秋学期・クラスタ科目)は、それぞれ異なるアプローチから新しいデザインの理論を展開しているものです。

「ボディ・ストーミング」は、場所というコンテクストに身を置き、そこからの発見からデザインへの発想を促すコンセプト的アプローチ。 「サイト・オリエンティッド・デザイン」では、場や場所を扱う際に必要となる図形幾何学や生態幾何学といったジオメトリックで論理的(logic)な思考法。「パブリック・アレンジメント」では、公共空間における社会学的アプローチと、社会性と倫理性(ethic)の関係などについて講義していきます。


講義シリーズが、コンセプトやナレッジの側面を重視するのに対して、週1回の研究会では作品製作、特に試作・習作・実験作を重ねることによりスキルとエクスペリエンスを獲得することを重視しています。理論を学ぶだけではなく、実際に足や手を動かして、身体的にデザインを習得すること、そしてそのなかから幾つもの可能性と哲学を抉り出すことを最大の目標としています。 特に、材料から発想すること―マテリアル思考−と、組み立てて「構造」を持つように統合すること−ストラクチャー&インテグレーション−、が研究会の大きなポリシーです。